妊娠・分娩期間中に、お母さんから赤ちゃんへと感染し、赤ちゃんに影響を及ぼす疾患としてHIV感染症やATLの母子感染が知られています。
当院では妊婦さんに対し、HIV抗体およびATL抗体検査を実施しています。妊娠がわかったら、検査により感染の有無を確認しておくことはとても大切なことです。
以下に各感染症と検査の必要性についてご説明いたします。
HIV(エイズウィルス)感染症について
・ HIV感染症は、「HIV」というウイルスの感染により引き起こされ、免疫
機能が低下する疾患で、主として性行為により感染します。
・ お母さんがHIVに感染していると、妊娠・出産・授乳を通して赤ちゃんが
感染する場合があります。
・ HIVは感染していても何年も症状がでないことが多く、母子感染を防止
するためにも抗体検査による確認が必要です。
・ お母さんの感染が早期に発見されると、抗エイズウイルス薬の内服や
帝王切開の実施などにより赤ちゃんへの感染を著しく低下させることが
できます。
ATL(成人T細胞白血病)について
・ ATLウイルスが体内に侵入することで感染が成立します。
・ ATLウイルスに感染していても、ほとんどの場合発病することはありま
せん。しかし、体内にはATLウイルスを持ち続けます(ウイルスキャリ
アといいます)。
・ お母さんがウイルスキャリアの場合には、出産後、母乳を通じて赤ちゃ
んに感染させる可能性が高くなります。
・ 検査によりお母さんへの感染が発見されると、出産後は人工乳哺育な
どにより赤ちゃんへの感染を防止することができます。
HIV抗体およびATL抗体検査について
いずれの検査も血液を使用して実施いたします。
HIV抗体検査につきましては陽性の場合、ごくまれに生じる偽陽性反応を除外するため、さらに精密な確認試験を実施した上で最終判定となります。
当院では広島市医師会臨床検査センターに検査を委託しています
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